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医学と無縁の技術者が自分のために医療機器を開発!?

Aortic Support

イギリス在住のTal Golesworthyは工程管理の技術者です(工業製品などを効率よく生産するために改善を行ったりする技術者です)。彼は2000年に、上行大動脈(心臓から上に向かっている大動脈)の拡大からマルファン症候群と診断されました。

マルファン症候群は遺伝性の疾患で、全身の結合組織が通常よりも弱いことが特徴です。そのため、大きな力が加わると組織が裂けたり、はがれたりする現象が起こります。大動脈は心臓が血液を拍出する圧力を絶え間なく受け止め続けているため、マルファン症候群の多くの患者さんが大動脈の乖離や破裂を発症します。

Golesworthyの大動脈の組織も裂けかけて拡大しており、手術を行わなければ破裂の危険性がある段階でした。標準的な治療、Bentall手術では、大動脈人工血管に置き換え、大動脈弁も人工弁に置換する必要があります。この治療を行うと、術後一生ワーファリンという凝固防止剤を飲み続けなければなりません。

GolesworthyはBentall手術を受けたくありませんでした。そしてその代わりとなる治療を考え付いたのです。技術者の彼が思いついた方法は、MRIで彼の大動脈の形を、3Dで正確にスキャンし、CADという設計士が使用するソフトウェアでデザインされたデバイスで、大動脈をきっちりと覆い補強することでした。

通常、このようなオーダーメイドの医療機器を開発・製造するには非常に長い期間とコストがかかります。しかし彼は、MRICAD、そしてRP(rapid prototyping)という試作品を高速で作成する技術を駆使して、約1年の開発期間で、非常に低コストで、自分専用のデバイスを完成させました。RPには様々な方法がありますが、Golesworthyが選んだのはレーザー焼結という3D造形技術だそうです。彼は2004年にこのデバイスの埋め込み術を受け、術後の経過も順調です。

このデバイスはGolesworthy以外にも23人の患者さんのために作成され、手術に使用されました。

これまでもマルファン症候群の患者さんのために、補強材で大動脈を覆って拡大を防ぐという手術法はあったのですが、手術中に補強材を整形して代度脈にぴったり合ったものにするということはほぼ不可能な作業で、うまくいきませんでした。手術前に大動脈にぴったり合う、オーダーメイドの補強デバイスを作成するという方法はまさに技術者ならではの発想で生み出されたといえるでしょう。

医療の世界では技術者と医師とのコラボレーションがほとんど進んでいないので、今後コラボレーションをもっと行えば、まだまだ新しい治療法が開発されるだろうとGolesworthyは語ります。

様々な分野の知識や技術をもった人々が、課題を共有して解決方法を発想することが、これからの時代求められるのでしょう。今まで思いもよらなかった発想が次々飛び出す世界を創造すると興奮しますね。

source: The Engneer
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