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患者同士がデータを共有し、活用するウェブサイト

Patient like me

アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)のエンジニア、Ben HeywoodとJames Heywoodの兄弟は、彼らのもう一人の兄弟、StephanがALS(筋萎縮性側索硬化症:手足や呼吸に必要な筋肉が徐々に衰え、最後には生命にかかわる病気)と診断され、以来長い療養生活に携わりました。

そしてその経験を元に2005年、Patientslikeme(私みたいな患者達)というWebsiteを立ち上げたのです。

このウェブサイトでは、様々な疾患のコミュニティーの参加者が自分たちの病気の進行状況、症状、身体機能、QOL(生きがいの水準)、受けている治療や検査データなど、様々な情報を共有しています。

これらの情報はコンピューター処理され、自分に似たようなコンディションの患者さん達はどのような治療を受けているのか、効果があるのか、副作用はなにか、どのような経過をたどっているのか、などが図のようなグラフなどで表されます。自分が今、他の患者さんと比べてどのような状況にあるのかということも知ることができます。

このような情報を元に参加者は自ら積極的に治療に参加していけるのです。

患者さんの体験を共有するウェブサイトは今までもありました。しかし、Patientslikemeの特徴は詳細なデータを共有して、さらにそれぞれの参加者が自分たちの治療に役立てられるように、そのデータを加工しているところにあります。

よりよく自分の病気を理解し、積極的に行動を起こせる力を与えるこのサイトに、医療の未来を見たような気がします。

Patientslikemeは最近までALSやエイズ、精神疾患などの22の限られた疾患のコミュニティーしかありませんでしたが、ようやく全ての疾患に対応できるようになったようです。

Patientslikemeは製薬企業や医療機器メーカーに情報を売って利益を出していることを公開しています。
ただし、個人情報の保護には細心の注意が払われているとのことです。

source:TED
related page: Patientslikeme

アルツハイマー病の診断ガイドラインが27年ぶりに変更

alzplaque_jpg.jpg

アメリカのアルツハイマー協会はなんと27年ぶりに診断ガイドラインを変更しました。
今回の変更は少しでも早期にアルツハイマーを診断することを目的としています。

国立老化研究所(the National Institute on Aging)のアルツハイマー研究センターのディレクター、Creighton Phelps氏によると、今までの診断ガイドラインアルツハイマー病による痴呆症状が出た後のみの診断ガイドラインでした。

20年ほど前には痴呆だけではなく、痴呆の前兆となる認知能力の障害、たとえば記憶だけでなく、意思決定能力、環境適応能力などさまざまな能力の障害がアルツハイマー病の症状として確認されました。

そしてごく近年、研究者達は症状が起こる前の兆候、バイオマーカーの変化を確認するに至ったのです。そのバイオマーカーの検査はまだ臨床段階ではなく、研究段階にあります。

そのバイオマーカーとはMRIやPETといった画像診断で確認されるサインや脊髄穿刺(脊髄液を注射針のような器具で採取する検査)でアミロイド蛋白を確認することだそうです。

研究結果は月ごとにアップデートされており、今回のガイドラインは、これらの研究結果をどんどん反映できるような構造になっています。

6年前からアメリカではADNI(Alzheimer's Disease Neuroimaging Institution)という研究が遂行中で、人々の画像やバイオマーカー、遺伝子までもを追跡して、アルツハイマー病の進行について調査されています。

この研究のデータはUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)によって集約され、世界中の研究者が利用できるように公開されているそうです。

アルツハイマー病を完治する治療法は今のところ開発されていませんが、進行を遅らせるのに有効だろうという薬は開発中です。早期に診断できて、早期に治療を始めることができれば、症状が出始める前に病気の進行を食い止めることができるようになるかも知れません。

現在アルツハイマー病研究センターが注目している薬は、異常蛋白、アミロイド蛋白の抗体を用いて、脳への沈着を防ぐ薬だそうです。

アメリカでは540万人のアルツハイマー病患者がいると言われ、死因の6番目の病気であると考えられています。そのため、この病気に対する関心は非常に大きく、TIME紙やWall Street Journal紙もこのガイドラインの変更を報じています。

source: science friday
related page: Alzheimer's Associationガイドラインがここにあります)
related page: ADNI@National Institute of Aging

埋め込み型人工網膜で見えた!

ArtificialRetina1

全盲の人にとって少しでも視力が回復することは大きな意義があります。

写真のEric Shelbyは20年間全盲でしたが、アメリカ、カリフォルニア州の企業、Second Sightが開発した人工網膜チップの埋め込み手術を1年前に受け、物の輪郭や大きさなどがわかるようになりました。

Shelbyは盲導犬や杖が不要になったわけではないですが、道を歩くのがずいぶん楽になったと言います。

メガネで撮影された画像は電気信号に変換され、人工網膜によって、まだ機能している視細胞へ電気信号を伝えます。電気信号は光の点滅のように見えるため、埋め込みを受けた人は光の点滅を解釈しなければなりません。

網膜色素編成

2002年からこれまでに約40名の患者さんが埋め込みを受けましたが、中には大きなフォントの文字を読めるまでに視力が回復した患者さんもいるそうです。

この人工網膜の埋め込みにかかる費用は1,000万円以上と高額な上に、人工網膜が機能するコンディションは限られています。患者さんはもともとは視力があり、視力を失った後も、ある程度視細胞が機能していなければいけません。

網膜の上に埋め込みんでも視細胞を損傷せず電気信号を伝える技術は実現が非常に難しいらしく、この人工網膜の開発は大きな一歩といえます。

このプレイクスルーにより、将来的はもっと鮮明な画像を再現する人工網膜ができるだろうと期待されています。

source: R&D
related page: Second Sight Medical Products, Inc.

埋め込み型センサーで心筋梗塞の発症を早期発見!

implantable sensor

心臓の血管が詰まり心筋が傷害される心筋梗塞は場合によっては激しい胸の痛みを体験しますが、糖尿病で神経障害を持つ場合などでは症状を感じず、発症に気づかない患者さんもいます。

Michael Cima教授率いるマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)の研究チームが開発した埋め込み型センサーは、心筋梗塞が発症したときに血中で上昇する3つのマーカー、ミオグロビンと心筋トロポニンI、クレアチンキナーゼを感知し、発症を即座に発見します。

さらに、それぞれのマーカーの血中濃度の経過も記録し、心筋梗塞の重症度などもわかるそうです。

このセンサーはさまざまなマーカーを検出することが可能なようですが、心筋梗塞のマーカーを選んだのは、比較的病状とマーカーの関連が明確だからだとCima教授は語ります。将来的にはごく微量のマーカーを感知して感染症などを発見できるようにしたいそうです。

このセンサーは薄さ2mm×直径8mmの小ささで、皮下に埋め込むだけでいいそうです。現在はマウスで実験が行われている段階ですが、人に対する臨床試験も予定されています。

救急外来で心筋梗塞の患者さんを診察することが多かったのですが、問診と心電図、受診時の血液検査では心筋梗塞かどうか微妙な場合にも何度か遭遇しました。このセンサーがあれば心筋梗塞の正診率が向上するでしょうね。

source: MIT news

神経を光らせて手術中の神経損傷を回避!

glowing nerve ending

手術中にメスなどで神経を傷つけてしまうと、感覚以上や麻痺などの後遺症を残してしまうことがあります。ですので外科医は神経を傷つけないように細心の注意を払う必要があります。

アメリカ、カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California San Diego:UCSD)の外科医、Quyen Nguyen率いる研究チームは、蛍光ペプチドを応用して、神経細胞を光らせる技術を開発しました。

この技術によって、手術中に神経を緑色に光らせることができ、外科医は神経を避けることができます。

Nguyen医師は化学者のRoger Tsienとこの蛍光ペプチドを開発しました。Roger Tsienは以前と正常組織の境目を蛍光することができるマーカーを開発した化学者です。

この神経を光らせる技術はを発見する技術にも応用できることが期待されているそうです。

一番の肝は神経やに特異的に親和性のあるアミノ酸配列を見つける技術だそうですが、彼らはファージというウィルスを用いて、これらのアミノ酸配列を見つけているそうです。

すごい技術ですね。診断薬やドラッグデリバリーもこの技術で発展しそうな予感がします。

source: Technology Review

透析や心臓冠動脈バイパス用の細胞培養人工血管!

bioengineered vein

透析患者さんは、動脈と静脈を手術でつないで、透析回路に流すための血液を大量採取し易くするためのバイパスを造ります。しかし透析患者さんの多くで静脈があまりバイパスに適さない状態だそうです。

心臓の冠動脈バイパス手術においても、場合によっては5本もの血管をつないだりするので、太ももから静脈を採取して使用します。場合によっては状態のいい血管があまりないということもあります。

アメリカ、デューク大学(Duke University)、イースト・キャロライナ大学(East Carolina University)、イェール大学(Yale University)の研究者は人の血管平滑筋細胞を、吸収性の縫合糸などに使用される生分解性プラスチックのポリグリコール酸のチューブの上で培養して、細胞培養人工血管(上写真)を作成することに成功しました。

bioengineered vein2

約8~10週間かけてポリグリコール酸のチューブは吸収されて、培養された平滑筋細胞で構成された血管が残ります。この血管は冷蔵状態で1年間保存できるため、必要なときに取り出して患者さんに移植することができます。

他人の培養細胞でできた血管ですので気になるのは拒絶反応ですが、猿と犬の実験では少なくとも6ヶ月は拒絶反応なく、順調な血流を保っていたそうです。

人に対する臨床試験はノースキャロライナ州のベンチャー企業Humacyte社によって行われる予定です。

培養皮膚に引き続き、培養血管もいよいよ実用的なものができてきましたね。待機的に行う手術であれば、患者さん本人の細胞でも血管を作成できそうな技術です。

生分解性プラスチックで足場を作って臓器を形成する方法は可能性を感じます。肝臓や腎臓など、もっと複雑な臓器が作られる日も近いかもしれませんね。

source: Physorg.com

皮膚細胞スプレーで熱傷が数日で治癒!?

skin gun1

重傷の熱傷は広い範囲で皮膚を傷害します。場合によってはそこから感染を起こして、傷が癒えるまでに何ヶ月もかかったり、治ったあとも傷跡を残したりします。

ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)の外科学教授である、Joerg Gerlach博士の率いる研究チームが開発した皮膚細胞スプレーは、このような熱傷を数日で治癒してしまいます。

現在、自分の皮膚細胞から培養皮膚を作成し、移植するという治療方法がありますが、培養には数週間かかる上に培養された皮膚がもろいという欠点があります。重傷では移植するまでの数週間に患者さんの状態が悪くなる可能性が高いのです。

しかしGerlach博士が開発した方法では患者の正常細胞採取からスプレーするまでわずか1時間半しかかかりません。

skin gun4

マシューはピッツバーグ州の消防士で、焚き火に不意に撒かれたガソリンによる大炎上で顔と左上半身に火傷を負い、広い範囲で水ぶくれや皮膚のただれができました。病院に運ばれた後、医師はこの患者さんの正常な皮膚から細胞を採取し培養、スプレーで患部に吹き付け治療を行いました。

写真はなんと治療から4日後の皮膚の状態だそうです。ほとんど正常に見えます。

驚異的な効果ですね。マシューも動画の中で「まるでスターウォーズのようだ」と語っています。

すでに数十人の患者さんの治療に用いられているそうです。

source: McGowan Institute for Regenerative Medicine

磁性ナノ粒子で癌細胞を吸着除去!

ovarian cancer removed

癌が進行してくると、血流などに癌細胞がのって、もともとの癌から離れたところで癌細胞が生着する、いわゆる転移が起こります。

血流にのって浮遊している癌細胞をキャッチして取り除くことができれば、転移を抑え、ひいては癌患者さんの寿命を延ばすことができるかも知れません。

ジョージア工科大学のJohn McDonald教授率いる研究チームは、磁性ナノ粒子によって、血流中や腹腔中の浮遊癌細胞を取り除く技術を開発しました。

この磁性ナノ粒子は癌細胞を吸着するようにデザインされています。体内に注入された磁性ナノ粒子は血液中や腹腔の中で癌細胞を吸着します。透析のように血液を体外に取り出し、フィルターを通すと、磁気の力で癌細胞を吸着した磁性ナノ粒子が取り除かれ、血液は体内に戻されます。

magnetic nanoparticles

研究チームはマウスの腹腔に癌細胞を注入し、その後、磁性ナノ粒子を腹腔に還流させ、癌細胞を取り除く治療を行いました。

その結果、磁性ナノ粒子で治療を行ったマウスは、治療を行わなかったマウスと比較すると30%以上の寿命が延びたそうです。

人に応用されるのはもう少し先かも知れませんが、化学療法と併用することによって、癌の再発・転移を抑制する強力な治療になる可能性があります。しかも化学物質ではないので副作用も少なそうです。
実用化が待ち遠しいですね。

source: R&D

吸入式インスリンのリベンジなるか!?

Exubera

重症の糖尿病患者さんは毎日のインスリン注射が必要です。注射以外のインスリンの投与方法として開発されているものは内服、点鼻吸入の3つですが、もっとも有望なものは吸入だという説があります。

内服は胃酸や消化酵素にインスリンが分解されることなく、腸粘膜から吸収される技術が必要ですが、いずれも非常に困難で40年以上研究されていますが実現されていません。

点鼻では鼻粘膜をインスリンが通りにくく、鼻粘膜の面積も狭いため大量のインスリンを投与する必要がある上に、インスリンの吸収の向上させる物質が鼻の不快感や鼻水を誘います。さらに風邪をひいていると使用できません。

吸入は、広げるとテニスコートほどの広さのある、膜の薄い、肺胞からインスリンを吸収するため、比較的簡単にインスリンの投与が可能です。

しかし、2006年に世界で初めてFDA(米国厚生省)に認可されたPfizer社のExubera(写真)は、2007年には早くも撤退してしまいました。

デバイスが大きくて持ち運びが不便であること、咳や息切れ、喉の痛みなど副作用が報告されたこと、喘息やCOPDなどの肺疾患患者さんは使用できないこと、インスリンの投与量が細かく調節できないことなどが原因だそうです。喫煙者はインスリンの吸収率が高くなって、低血糖を起こしやすいなどの欠点もあったようです。

Exubera2

Exuberaの撤退後、Novo Nordisk社とEli Lilly社は相次いでフェーズ3まで治験がすすんだ吸入式インスリンシステムの開発から撤退してしまいました。

メジャープレーヤーの撤退によって、終わってしまった技術と思われていた吸入式インスリンですが、Pfizer社とともにExuberaを開発していたNektar社のメンバーは、サンフランシスコでDance Pharmaceuticals社を立ち上げ、新たなシステムの開発に取り組んでいます。

当社はExuberaの技術を改良し、市場に受け入れられる製品の実現を目指しています。パウダー状であったインスリンを液状に変えることにより、大きさは持ち運びに便利なサイズになり、添加物を見直すことにより副作用を減らそうとしています。

しかし、マイクロニードル(痛くもなければ血も出ない針によるドラッグデリバリー)など、吸入に変わるドラッグデリバリーシステムも発達してきており、吸入式インスリンの必要性を疑問視する声もありDance Pharmaceuticals社の製品が広く臨床で使われるようになるかどうかはまだなんとも言えない状況のようです。

source: Diabetes Mine

磁気による脳の刺激で学習効果がアップ!?

magnetec brain stimulation

磁気刺激によって、大脳皮質の脳細胞の活動に影響を与えられるということは1985年にAnthony Barker氏によって初めて発表発表されました。

現在では磁気によって狙った領域の大脳皮質をの活動を活発にしたり抑制したりできます。例えば1秒間に1回の磁気刺激を繰り返すと、その活動は抑制され、1秒間に50回の磁気刺激では活動が活発になります。

この磁気刺激によって、シナプスと呼ばれる脳細胞同士の結合を増やすことや減らすこともできるそうです。

臨床現場では脳梗塞後の患者さんの機能回復やうつ病の治療に応用されつつあるところですが、現在のところ、ごく限られた効果をみせるにとどまっています。

ドイツのルール大学ボーフム校、神経生理学科のKlaus Funke教授率いる研究チームはラットに対して、あるプロトコールにしたがって磁気刺激を行うと、学習能力を向上することができたそうです。

この学習機能向上も、将来的には機能障害の治療に応用されることを期待されていますが、個人的にはぜひ健常者の学習効果の改善に使えるような技術になって欲しいものです。

source: Physorg.com

クラウドで貧しい国の妊婦の健康管理の問題解決!?

OpenIDEO

OpenIDEOは、企業などが「課題」をサイトにアップし、課題の解決法を一般の人たちから募集するサイトです。提案された課題の解決アイデアは、さらにサイトの他の訪問者によって評価されます(アマゾンやタベログのレビューのような仕組みですね)。

アイデアを提案した人は評価に応じてポイントのようなものを獲得することに加え、最も優れていると評価を得たアイデアは課題を出した企業によって実現されます。

例えばJamie Oliverという有名なシェフは「子供たちの健康的な食事に関する意識を向上させるためにはどうしたらよいか?」という課題を出すと、上の写真のようにいろいろな課題解決アイデアが集まりました。

携帯電話メーカーのノキアと、貧しい国の人々を支援するボランティア団体のOxfamは共同で、「貧しい国妊婦の健康管理を携帯電話を使って改善する方法はなにか!?」という課題を出しているところです。最も優れたアイデアは4月に決定されるようです。

社会的な課題を2.0の仕組みで解決しようとする試みは面白いですね。スポンサーがうまく集まるのかな?っという余計な心配をしてしまいますが、ノキアの例のように、自分たちの製品を使って、、、という制約を入れてもいいというところがミソかもしれません。

日本にも似たサイトがはあるのでしょうか?日本の医療問題も2.0でアイデアを出し合って一気に解決!っという風になればいいですね。

source: FastCompany

医学と無縁の技術者が自分のために医療機器を開発!?

Aortic Support

イギリス在住のTal Golesworthyは工程管理の技術者です(工業製品などを効率よく生産するために改善を行ったりする技術者です)。彼は2000年に、上行大動脈(心臓から上に向かっている大動脈)の拡大からマルファン症候群と診断されました。

マルファン症候群は遺伝性の疾患で、全身の結合組織が通常よりも弱いことが特徴です。そのため、大きな力が加わると組織が裂けたり、はがれたりする現象が起こります。大動脈は心臓が血液を拍出する圧力を絶え間なく受け止め続けているため、マルファン症候群の多くの患者さんが大動脈の乖離や破裂を発症します。

Golesworthyの大動脈の組織も裂けかけて拡大しており、手術を行わなければ破裂の危険性がある段階でした。標準的な治療、Bentall手術では、大動脈人工血管に置き換え、大動脈弁も人工弁に置換する必要があります。この治療を行うと、術後一生ワーファリンという凝固防止剤を飲み続けなければなりません。

GolesworthyはBentall手術を受けたくありませんでした。そしてその代わりとなる治療を考え付いたのです。技術者の彼が思いついた方法は、MRIで彼の大動脈の形を、3Dで正確にスキャンし、CADという設計士が使用するソフトウェアでデザインされたデバイスで、大動脈をきっちりと覆い補強することでした。

通常、このようなオーダーメイドの医療機器を開発・製造するには非常に長い期間とコストがかかります。しかし彼は、MRICAD、そしてRP(rapid prototyping)という試作品を高速で作成する技術を駆使して、約1年の開発期間で、非常に低コストで、自分専用のデバイスを完成させました。RPには様々な方法がありますが、Golesworthyが選んだのはレーザー焼結という3D造形技術だそうです。彼は2004年にこのデバイスの埋め込み術を受け、術後の経過も順調です。

このデバイスはGolesworthy以外にも23人の患者さんのために作成され、手術に使用されました。

これまでもマルファン症候群の患者さんのために、補強材で大動脈を覆って拡大を防ぐという手術法はあったのですが、手術中に補強材を整形して代度脈にぴったり合ったものにするということはほぼ不可能な作業で、うまくいきませんでした。手術前に大動脈にぴったり合う、オーダーメイドの補強デバイスを作成するという方法はまさに技術者ならではの発想で生み出されたといえるでしょう。

医療の世界では技術者と医師とのコラボレーションがほとんど進んでいないので、今後コラボレーションをもっと行えば、まだまだ新しい治療法が開発されるだろうとGolesworthyは語ります。

様々な分野の知識や技術をもった人々が、課題を共有して解決方法を発想することが、これからの時代求められるのでしょう。今まで思いもよらなかった発想が次々飛び出す世界を創造すると興奮しますね。

source: The Engneer

アメリカ政府が新薬開発に進出!?

Prozac_pills

医薬品市場は世界で約80兆円といわれています。その巨大市場の大きな部分を支えているのが、製薬企業が開発・上市する新しい薬、いわゆる新薬です。その新薬の上市数は、1995年をピークに年々下がり続けていて、製薬企業は危機感を募らせています。

Pfizerなどの巨大製薬企業から多額の税収を得ているアメリカの政府も、製薬企業の業績が悪化することを恐れています。昨年、アメリカの製薬企業は何千人という従業員をリストラしました。

業を煮やしたアメリカ政府は、公的な機関で新薬の開発を行うことを決定しました。これまで、アメリカの医学研究の中心的機関であった、国立衛生研究所(The National Institutes of Health:NIH)は、タンパク質の構造の解明など、基礎的な研究しか行ってきませんでした。臨床的な薬の開発は民間企業に任せてきたのです。

この度設立される、先進科学臨床応用国立研究所(意訳です)(The new National Center for Advancing Translational Sciences)と呼ばれる新しい国立機関は1千億円の研究費を政府から得て、動物実験や臨床試験を含めた新薬の開発事業に乗り出します。

製薬企業が新薬開発のために費やす費用は合計で、約4兆6千億円といわれています。さらに、一つの新薬を開発するために製薬企業は約1千億円かけ、マーケティングには2千億円かけるそうです。それだけのコストをかけてもその新薬がヒット製品になるかどうかは分かりません。

そのため、投資家の多くが見通しの不明な医薬品開発への投資を控え、効き目がある程度明らかな薬でさえ、製薬企業が開発・上市することができないという構造が進みつつあるそうです。

製薬企業の使っているコストからすると、今回アメリカ政府が出す予定の1千億円も少なく思えますが、政府が医薬品開発を後押しすることによって、投資家の資金が再び医薬品開発に呼び戻されることを狙っているのです。

新薬が開発されにくくなっているのは世界的な現象で、日本も例外ではありません。日本でもアメリカのように大胆な政府の介入を期待したいところです。

電気の力で薬の経皮吸収をコントロール!

Anti Migraine Patch

偏頭痛の薬は飲み薬がほとんどですが(鼻腔内噴霧剤や注射剤もあります)、症状が出始めてから薬を飲むと効果が発揮されるまで時間がかかることや、吐き気がある場合薬が飲みにくいことなどが問題です。

アメリカ、ペンシルバニア州の企業、Nupathe社は偏頭痛薬の皮吸収を電気でコントロールすることでこれらの問題を解決しようとしています。

Anti Migraine Patch2

Nupathe社がFDA(米国厚生省)の承認を獲得したゼルリックス・パッチ(Zelrix Patch)は電気によって薬を皮下に吸収させるイオン泳動法という技術を用いています。偏頭痛の症状がでたときにスイッチをオンにすると、速やかに皮下から薬が吸収されるため、飲み薬よりも早く薬の効き目が発揮されます。薬を飲む必要がないので吐き気があってもOKです。

ゼルリックス・パッチに使用されている薬はスマトリプタンというメジャーな偏頭痛薬で、偏頭痛に対する効果は確認された薬です。

電気で、薬の投与をオン・オフできるのは面白いですね。様々な薬に応用できそうです。しかし、問題はこの大きさでしょうね。しかもこのパッチ、シングルユースだそうです。

source: Biotechnology News Today
related page: Nupathe Inc.

アルツハイマーを早期発見

amyloid

アルツハイマー病は認知症の原因として重要な疾患の一つです。アルツハイマー病の早期発見、早期治療は認知症の進行を遅れせるカギとなりますが、今までは認知症の症状や、問診によって診断するほか、早期発見の方法はありませんでした。

アルツハイマー病患者さんの脳にはアミロイドβと呼ばれるタンパク質が沈着しています。そのアミロイドβを画像検査で強調する造影剤が、FDA(アメリカ厚生省)の承認を得ることになりそうです。

癌の診断に使用されるポジトロン断層法:PETと呼ばれる検査で、この造影剤を使用すると写真のようにアミロイドβの沈着が観察できます。この検査によって、症状がほとんどない、ごく初期のアルツハイマー病でも、早期発見が可能になります。

アメリカの製薬企業、イーライ・リリー社は昨年、このアミロイドβの造影剤、Amyvidを開発したペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)のスピンアウト企業、Avid Radiopharmaceuticals社を昨年の末に買収しました。

AmyvidによるPET画像はアミロイドβを強調してくれるのですが、正確な診断には技術が必要であるため、FDAの承認には、医師が診断のためのトレーニングを受けることが条件となりそうです。

source: Technology Review

ゲーム機の技術でロボット手術を安全に!

DaVinci-Robot

今回は我が母校、ワシントン大学(Univeristy of Washington)の記事です。

ロボット手術は人間の手では難しい細かい手術に有効だとされています。しかしロボット手術の問題は、手で手術するような術野の組織を触れている感触が伝わってこないことにあります。

ワシントン大学の研究チームはこの問題をマイクロソフト社のゲーム機の技術、キネクト(Kinect)を使って解消する方法を開発中です。

組織を触れている感覚を手にフィードバックするためには、術野で、どんな組織がどのように操作されているか(つまんで剥離されているのか、電気メスで焼かれているのか)を正確に感知する必要があります。キネクトは無数の赤外線を発射、感知して、空間にあるものの動きを正確に捉えることができる技術です。

これまでいろいろな方法が試みられてきましたが、いずれの方法もコストが非常にかかる方法ばかりでした。これがキネクトを応用すると、ゲーム機程度のコストでできてしますのです。

この技術によって、傷つけてはいけない組織を傷つけず、安全に手術を行うことが容易になるそうです。

実際のロボット手術に使用するためには、まだまだ調整が必要だということですが、安いゲーム機の技術でロボット手術を安全にするとはナイスアイデアですね。

source: Popular Science
related page: University of Washington

磁石を内蔵した飲み薬を体外からコントロール!

Magnetpill1

一言で飲み薬と言っても、薬効はもちろん、薬の溶け方や吸収のされかたは様々で、疾患や症状に最も薬が効果的であるように工夫されています。例えば、胃酸に触れると吸収されてしまうような薬は、胃では消化されず、腸で消化されるカプセルに入れられています。

しかし、これまではピンポイントで狙ったところで薬をとどめておくような技術はありませんでした。アメリカ、ロードアイランド洲のブラウン大学(Brown University)の研究チームは、磁石を内蔵した内服薬を体外から磁力で操作して腸の中でとどめる技術を開発しました。

マウスを使った実験では、12時間、腸の中の同じ場所に薬をとどめておいても、腸組織の障害などの合併症は発生しませんでした。

この技術によって、これまで以上に正確に、狙った場所で、薬を投与することができるようになり、同じ薬を飲んでも、より効果を発揮したり、副作用を抑えるようになることを期待されています。

長時間とどめておけるなら、一度薬を飲めば一週間薬を飲まなくても大丈夫、という薬も開発されるかも知れませんね。


source: R&D
related page: Brown University

認知症の簡単なオンライン初期診断システム!

elderly_couple

認知症は日本国内でも200万人の患者さんがいると推測され、高齢化に伴って、今後も人数は増え続けるとみられています。しかし、それだけ一般的な病気であるにも関わらず、あまり病気のことについては知られていません。

アメリカ、ジョンホプキンス大学医学部精神科のJason Brandt教授は、早期発見、早期治療で症状の進行を遅らせることができることを広く知ってほしいと、オンラインの簡単な初期診断システムを公開しました。

このシステムはよくある、「住所が思い出せますか?」のようなアンケート式のテストではなく、次々に「緑色のバラ」「黄色いジーンズ」といった言葉が出てきて、その組み合わせを思い出せるかどうかで判定するテストです。

実際やってみると結構難しかったりします。ほんの数分で終わるので、皆さんも一度試してみてください。

テストのスタート画面へのリンク

もちろんこのテストは完全な診断システムではなく、結果をもとにきちんと専門家の診断を受けないといけませんが、ごく初期のわずかな認知傾向を見つけ、早期治療に役立てようという試みです。

従来のアンケートテストでは早期診断は困難でしたし、自覚がなければ受けるのが恥ずかしかったりするでしょう。このようにゲーム感覚で取り組めるテストで、認知症の早期発見が増えればいいですね。


source: Physorg.com
related page: alzcast.org

一度のワクチン接種で全てのインフルエンザを予防!

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(写真:2009年に流行したブタインフルエンザウィルス:H1N1)

インフルエンザがやっかいなのは、一度ワクチンを接種しても全ての型のインフルエンザには効果を発揮しないことです。全ての型のインフルエンザに効くワクチンユニバーサルワクチンと呼ばれ、世界各地の研究機関で開発が進められています。

アメリカ、シカゴ大学(University of Chicago)とエモリー大学(Emory University)の研究チームは、2009年に流行したブタインフルエンザ(H1N1)に感染した患者たちの中に、様々な型のインフルエンザに抵抗力をもつ抗体を形成している人たちがいることを発見しました。

この発見によりユニバーサルワクチンの開発が大きく前進すると考えられています。

発見された5つの抗体はここ十年間に流行した季節性インフルエンザ、1918年に流行したスペイン風邪、鳥インフルエンザH5N1全てに対して効果があるそうです。

これらの抗体のいくつかはインフルエンザウィルスのヘマグルチニンと呼ばれる部分に結合してウィルスを破壊しますが、ヘマグルチニンは変異を起こしにくい部分なので、将来的にも抗体は有効だろうと推測されています。

一生に一度のワクチン接種でインフルエンザにかからなくなる時代になりそうです。

source: The Telegraph

インフルエンザのサブタイプも簡単に診断!

Verigene System

アメリカ、イリノイ州の企業、Nanosphere社はインフルエンザのサブタイプまで簡単に診断する、ウィルス性上気道感染症の診断機器のFDA(米国厚生省)の製造販売承認を得ました。

Verigene® Respiratory Virus Plus Nucleic Acid Test(RV+)はインフルエンザA、インフルエンザBだけではなく、インフルエンザAのH1N1、H1、H3というサブタイプも診断できます。さらに小児感染で非常に多いRSウィルスも診断が可能です。

(RV+)は鼻咽頭ぬぐい液をカートリッジにセットするだけで、ウィルスのRNAの抽出から逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)(RNAを鋳型に逆転写して生成されたcDNAに対してPCRを行う方法)までを自動的に行い、簡単に診断結果を得ることができるため、クリニックでも使用が可能ということです。

Nanosphere社によると、今後様々な呼吸器ウィルス感染症の診断や腸内感染症の診断ができるカートリッジを上市する予定です。

気になるのは臨床現場で使用する際の価格ですね。安価で使用できるようになってほしいものです。

source: The Medical News
related page: Nanosphere Inc.

人工血管の培養が実現!

capillary networks
(写真:蛍光された2種類の細胞が血管を形成していく様子)

アメリカ、テキサス州のライス大学(Rice University)とベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)の研究チームは細胞を培養して血管を形成することに成功しました。

10年の研究の結果、研究を率いたJennifer WestとMary Dickinsonは生分解性プラスチック、ポリエチレングリコール(PEG)で人間の細胞外マトリックス(組織の土台となる、コラーゲンなどの物質)を模倣する方法を開発しました。

種類の細胞と成長因子を含んだPEGを特殊な光を当てて固形ゲル状にしたところ、細胞が徐々に血管を形成してゆくのが観察されたそうです。

再生医療において、肝臓や腎臓など、体積のある臓器を作るためには、血管のネットワークを再生することが必要です。血管がないと細胞に酸素や栄養が行きわたらず、細胞が生きていけないからです。

日本でも細胞シート技術と、印刷技術によって血管再生することが試みられていますが、ライス大学の新しい技術では光によって複雑な3次元構造の細胞入りPEGを作成することができるため、臓器再生により役立つ血管ネットワークの再生が可能になると期待されています。

source: Science Daily
source: Rice University

胃を電気刺激して食欲抑制!

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アメリカ、カリフォルニア州の企業、IntraPace社は胃を電気刺激することによって食欲抑制する医療機器、abilitiシステムのヨーロッパでの販売承認(CEマーク)を獲得しました。

abilitiシステムは心臓に使うペースメーカーと同じような医療機器ですが、センサーと電極が胃に埋め込まれ、食べ物が胃に入ってきたらセンサーで感知します。食べ物を感知すると、微弱な電気刺激を胃に与え、満腹になる前に満腹感を感じさせるのです。

このシステムは満腹感を感じさせるだけではなく、物を食べたこと、飲んだこと、さらに運動したことまで記録しており、ワイヤレスでその情報を取り出すことができます。

医師は患者さんの食生活などを詳しく把握することができ、肥満生活習慣病の治療に反映することができるのです。

abilitiシステムはイギリス、スペイン、ドイツから上市を開始する予定であるとIntraPace社のPresident & CEO、Chuck Brynelsen氏は語っています。 

肥満の外科的治療には胃の入口を絞ってしまう手術や、胃や腸をバイパスする手術などがありますが、いずれも副作用があるため、患者さんにとってはつらい治療です。abilityシステムは副作用がほとんどなく、手術も低侵襲で済むそうです。

手術が必要となるような危険な肥満の患者さんには朗報ですね。

source: Business Wire
related page: IntraPace, Inc.

ついにヨーロッパで承認!溶けてなくなる冠動脈用薬剤溶出ステント

ABSORB

アメリカ、イリノイ州に拠点を置く総合医療メーカーAbbottが、生分解性プラスチックでできた冠動脈用(心臓を栄養する動脈用)の薬剤溶出ステントABSORBに対するヨーロッパでの販売承認(CEマーク)を得ました。

すでに、下肢の動脈用の生分解性薬剤溶出ステントはヨーロッパで上市されていますが、冠動脈用の製品が認可を受けたのは世界で初めてです。

この新しいステントはポリ乳酸という生分解性プラスチックでできています。ポリ乳酸は縫合糸など、幅広く体内で分解・吸収される治療材料に使用されてきた素材です。

そのため、このステントは冠動脈内に留置された後約2年で吸収されてしまうそうです。ステントが吸収されてしまった後、冠動脈は拡がった状態を保ちながら、従来の柔軟性を取り戻すそうです。

Abbottの副社長、Robert B. Hance氏は2012年の末にはヨーロッパ各国の販売許可を得て上市したいと語っています。今回のCEマーク獲得は2年にわたるABSORB臨床試験の結果によるものですが、各国の上市と保険償還の認定を受けるため、Abbottは今年、40カ国500人規模の臨床検査を実施する予定です。

アメリカや他の地域での臨床試験も今年の末に予定されているそうなので、数年後には日本にも上陸してくるかも知れません。

溶けてなくなるまで2年もかかると意味があるのかという気もしないでもないですが、数年後に治療部位が再び狭くなってしまったときに、またステントが使えるようになることは画期的だと思います。

実際の治療効果に注目したいですね。

source: The Medical News
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遺伝子解析によって命を救われた少年!

Nicholas Vloker
(写真:Nicholas Vloker)

アメリカ、ウィスコンシン医科大学(Medical College of Wisconsin)で、世界で初めて遺伝子解析によって命が救われた症例が報告されました。

Nicholas Vloker君は現在6歳ですが、生まれたときから原因不明の炎症性腸疾患に苦しめられてきました。大腸切除を含むたび重なる手術を受けてもさらに病状は進行を続け、彼が生き延びるのは絶望的だと誰しも考えていました。

なんとかNicholasの病気の原因を突き止めようと、治療チームは彼の遺伝子の解析を行いました。すると、誰も予想していなかった遺伝子の変異が発見され、Nicholasの病気の原因や、選択すべき治療法を示唆する情報となったのです。

この遺伝子の情報を基にNicholasは臍帯血移植(骨髄移植の代替となる治療)を受け、命を取り留めることができました。Nicholasはまだ免疫抑制剤による治療を続けていますし、手術も受ける必要があり、病状が悪化する可能性もあるのですが、現在は元気に遊ぶことができているそうです。

臍帯血移植を行ったDavid Margolis医師は、移植はリスクも高いので、遺伝子の情報なしにNicholasに施すことはできなかったと語っています。

Nicholasの母親は、息子が治療を受けられたことは素晴らしいことと思うが、遺伝子が全て分かってしまうのは怖くもあると言います。彼女はもう一人子供を作るつもりでしたが、Nicholasに遺伝子の変異を受け継がせてしまったことを悪く思い、新たに子供を作るのをやめたそうです。

今回の報告は遺伝子解析が普及するきっかけになる可能性はありますが、大きな問題はコストです。全ての遺伝子について解析を行うと、1万米ドルもかかります。(Nicholasの解析は限定的だったのでこの7分の1程度だったそうです)

安価に遺伝子解析できる技術革新が待ち遠しいですね。

source: Forbes

失明の原因となる目の病気の幹細胞治療!

Embryo1Retinal pigment epithelial cells
(写真:左 受精卵から細胞を一つ採取し胚性幹細胞を作成 右 網膜色素上皮細胞)

アメリカ、マサチューセッツ州の企業、Advanced Cell Technology(ACT)社は加齢黄斑変性に対する胚性幹細胞治療の臨床試験を開始するためのFDA(米国厚生省)の承認を得ました。

加齢黄斑変性は加齢に伴い、網膜(眼球の一番奥の視細胞が並ぶ膜)の中心部であり、視力が最も高い部分である黄斑部が変性してしまい、物がゆがんで見えたり、進行すると失明する病気です。アメリカでは失明の原因の1位であり、約1,700万人の患者さんがいると推計されています。

ACT社は昨年黄斑変性に関連する希少疾患に対する胚性幹細胞治療の臨床試験開始の承認を得ました。Geron社の脊髄損傷に対する臨床検査承認に続き、今回は胚性幹細胞治療の3つ目の承認になります。

加齢黄斑変性では網膜色素上皮と呼ばれる網膜細胞が変性していきます。網膜色素上皮は光を電気信号に変換することをサポートしています。

ACTの治療では、胚性幹細胞網膜色素上皮に分化させ、眼球に注入されます。げっ歯類(マウスやラット)での試験では、加齢黄斑変性の進行が遅くなり、視力の改善が認められています。

加齢黄斑変性の中でも最も多いタイプの萎縮型といわれるタイプでは治療法が未だになく、幹細胞治療に期待が寄せられています。

臨床試験では12人の患者さんに対して、治療が安全なものかどうか、視力の回復を認めるか評価される予定です。ACTによると、移植される細胞は全て網膜色素上皮に分化していて、癌化する可能性はほとんどないそうです。

日本でも加齢黄斑変性の患者さんは多く、失明の原因の3位だそうです。今回の臨床試験で効果的な治療が実用化に近づくことを祈りたいと思います。

source: Technology Review
related page: Advanced Cell Technology Inc.

遠隔で在宅高齢者を見守るシステム!

Quietcare

アメリカ、GEとIntelは、ジョイントベンチャーCare Innovations社を作り、在宅高齢者サポートシステムや慢性疾患マネジメントシステムを開発しています。

GEが開発しているQuietCare(写真)は住居内に数箇所設置されたワイヤレスセンサーで高齢者の日常の動きを感知します。もし、転倒など異常な動きがあった場合には、ケアスタッフに自動的にすぐに駆けつけるよう連絡が入ります。

センサーで感知した動作の情報をコンピューターで解析して、日常の動きか、異常な動きかを判断しているそうです。カメラで監視しているわけではないので、プライバシーが侵害されることはありません。

Intelが開発しているHealth Guideは慢性疾患の患者さんがモニターを通じて、ケアスタッフや医師と直接会話ができるシステムです。

頻繁にコミュニケーションをとることで患者さんの満足度が上がるのはもちろんですが、病状の管理も細かくできるようになり、治療全体のコストも低減できると期待されています。

Care Innovations社は遠隔ケアの市場は2012年には77億米ドルに成長するだろうと予測しています。

source: Fast Campany
related page; Care Innovations, LLC.

なんと薬物依存を治療するワクチン!

Laboratory mouse

アメリカ、ワイル・コーネル医科大学(Weill Cornell Medical College)の研究チームは薬物依存を長期にわたり起こらないようにするワクチンを開発しました。

そのワクチンは不活化したアデノウィルスコカインの模倣した物質で構成されています。アデノウィルスは風邪の原因ウィルスです。

新しいワクチンが投与されると、病原ウィルスであるアデノウィルスを排除するために免疫機能が活発になります。その時に免疫細胞はコカインに似た物質についても病原物として認識するのです。

マウスにワクチンを投与した後、コカインを投与しても免疫細胞がコカインが脳に到達する前に排除して、コカインによる快感を感じなくなります。そのため依存も起こりません。実験ではワクチンの効果は13週間、観察が終了するまで持続したそうです。

開発を指揮したRonald G. Crystal教授はこの治療は人間でも同じような効果が期待できると語ります。さらにこのワクチンコカインのみならず、ヘロインニコチン、その他の物質でも同じような効果を発揮すると考えられています。

Crystal教授は、このワクチンはすでに薬物依存になっていて、治療が困難な状態の患者さんであっても薬物依存から脱することができるであろうと語っています。

現在はFDA(米国厚生省)の承認を受けた薬物依存を治療するワクチンはありません。新しいワクチンはこれから人への臨床試験が必要ですが、実用化されれば多くの薬物依存患者さんを救うことになるでしょう。

source: Science Daily
related page: Weil Cornell Medical College

家庭で簡単に眼圧を測定できるデバイス!

glaucoma test
(写真:アリゾナ州フェニックスの眼科医であり共同開発者のGholan Peyman医師)

アメリカ、アリゾナ大学工学部のEniko Enikov教授は眼圧を簡便に家庭でも測定できるデバイスを開発しました。

緑内障は、視神経の異常によって視野欠損が起こり、進行すると失明の恐れもある病気です。緑内障は様々な原因で発症し、眼圧が高まることによって悪化します。

このため眼科クリニックでは緑内障を疑う患者さんの眼圧を測定しますが、測定のためには、点眼麻酔をかけ、滅菌した測定器を眼球に直接押し付けなければならず、手間がかかるものでした。

新たに開発されたデバイスは瞼の上から軽く押し付けるだけで測定が可能です。滅菌も必要ありません。このため家庭でも手軽に患者さん自身で測定ができます。

眼圧は24時間変化するため、クリニックだけでなく家庭で頻繁に測定できることは緑内障悪化防止に効果的です。

眼圧は無症状で上昇していることがほとんどであり、多くの人がクリニックでの測定を受けていないそうです。

家庭で簡単に測定できるデバイスが普及することによって、このような人たちが視野欠損を起こしたり失明したりすることを大幅に減らせると考えられています。

source: Science Daily
related page: University of Arizona

血液に潜む癌細胞をキャッチ!

Circulating Tumore Cell
(写真:検査チップの拡大図 抗体で覆われたポストにキャッチされた癌細胞

アメリカ、ボストンの研究チームとJohnson&Johnson社は血液中の極少数の癌細胞を捕らえる検査チップを開発しています。

一般的に、血液内に癌細胞を認めるのは、癌がかなり進行してからと考えられています。しかし実は、癌発症の初期でも、ほんのわずかな数ではありますが血液中に癌細胞が潜んでいます。

その数は非常に少ないので、通常の顕微鏡検査などではとても見つかりませんが、新しく開発された技術では、写真のような円柱形の部分の表面に癌細胞がくっつく抗体が張り巡らされていて、この周りに血液を流すと、流れてきた癌細胞のみがキャッチされるのです。

※一番下のリンク、National Cancer Instituteに実際に癌細胞がキャッチされる動画があります。

研究チームはまずこの技術で、患者さんの癌細胞の種類を特定したり、治療効果を判定するのに使用することを想定しています。これまで癌細胞を得るには、生検(生体組織検査)のように侵襲的なことをしなければなりませんでした。針生検という簡便な生検もあるのですが、確実に癌細胞を採取することが難しい手技です。

新しい検査では採血検査を行えば癌細胞を得ることができ、癌細胞の遺伝子などを調べることが可能です。

抗癌剤の効果を判定するのも、今まではCTなどで癌が縮小しているかどうかで評価していましたが、この検査を使うと、血液中の癌細胞の量の変化などで薬が効いているかどうか判定することができます。

この検査の開発者の一人、マサチューセッツ・ジェネラル病院(Massachusetts General Hospital)癌センター長のDaniel Haber医師は、この検査により、治療の効果判定が非常に早くなり、効果のある薬剤へ切り替えられるチャンスが格段に増えるだろうと語ります。

医師たちはこの検査によって発見される癌細胞の数に驚いており、癌の発生初期にも癌細胞が見つけられることから、将来的にはこの技術が、癌のスクリーニング検査(症状や兆候がない段階で健診などで癌を発見する検査)に応用できる可能性があると考えています。

将来採血検査による癌の早期発見能力が飛躍的に向上するかも知れません。

source: Physorg.com
related page: Massachusetts General Hospital
related page: National Cancer Institute

コンピューターモデルで薬剤治療を評価!

PhysioLab Platform Research


アメリカ、カリフォルニア大学サンディエゴ校サイエンスリサーチパーク(UC San Diego's Science Research Park)にあるラ・ホヤ・アレルギー免疫研究所(The La Jolla Institute for Allergy & Immunology)のMatthias von Herrath医師と研究チームは1型糖尿病(自己免疫異常によって生じる糖尿病)に対する経鼻吸入インスリンの投与方法の評価に、コンピューターモデルが有効であったと報告しました。

カリフォルニア州の企業、Entelos社が開発したコンピューターモデルは、心臓病糖尿病リウマチ性関節炎、高血圧など様々な疾患のモデルをコンピューター上で再現しています。

薬剤の動物実験や臨床試験は数億円規模のコストがかかります。また、長い試験期間が必要です。コンピューターモデルを用いれば、低コストで、時間も早送りで実験を行うことができます。

Entelos社のコンピューターモデル、PhysioLab Platformは、今回の実験で、動物実験において、経鼻吸入インスリンの低頻度投与と、より早い時期の投与開始が良好に1型糖尿病をコントロールし、β細胞が破壊されずに保護されることを正確に予測しました。

von Herrath医師はこの実験の目的は経鼻吸入インスリンの投与量や頻度、投与時期などが病態メカニズムと治療効果に与える影響を評価することであったが、今回の結果はコンピューターモデルが治療の評価に有用であることを実証し、人の病態モデルの開発に大いに貢献するだろうと語っています。


source: Science Daily
related page: La Jolla Institute
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